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NXP SemiconductorsはNXPのセキュリティ・エキスパートが共同執筆した特殊セキュリティ・アルゴリズムが NISTに選定され、量子コンピュータを介した脅威に対抗するグローバル業界規格の一部になったと発表しました。NXP共著による2つ目のアルゴリズムも最終の第4ラウンドに進み、標準化に向けてさらなる分析と検討が行われます。量子コンピュータがもたらす危険が明らかになりつつある中、暗号化データとコネクテッド・デバイスを保護する必要性が高まっています。選定されたポスト量子暗号(PQC)アルゴリズムは従来型コンピュータと量子コンピュータの両方を保護する新しい公開鍵暗号規格の策定に使用されます。
大規模な量子コンピュータが実現すると、その純粋な演算能力だけで暗号を短時間で「解く」ことができるようになるため、現行の公開鍵暗号システムが破られ、データ、デジタル署名、デバイスが脆弱な状態になると、多くのセキュリティ・エキスパートは考えています。その結果、金融取引、重要なインフラ、OTA(Over-The-Air)アップデート・メカニズムなど、オンラインのデバイスとデータに重大なセキュリティ・リスクが生じます。
この問題に対応するため、NISTは量子コンピュータが脅威をもたらす前に業界が新しいセキュアなシステムに移行できるよう、PQCアルゴリズムの標準化への取り組みを発表しました。IBMのセキュリティ・エキスパートとNXPが提案した格子暗号アルゴリズム「Crystals-Kyber」はこの新しい規格の基盤になります。NXPが共同提出したもう1つの提案「Classic McEliece」は符号暗号に分類されるもので、標準化に向けて分析と検討が行われる次のラウンドに進んでいます。
NXPのシニア主席暗号技術者のJoppe Bosは次のようにコメントしています。「世界がよりつながり、データ主導になる中、データとデバイスのセキュリティ確保は量子コンピュータであっても極めて重要です。NISTが新しいポスト量子暗号規格策定を進める中、NXPはセキュリティ、特にアルゴリズムに関する深い知識を提供しつつ、ポスト量子の未来に向けてNXPの製品を強化していきます。私たちはお客様が長期にわたって製品のセキュリティを確保できるよう、共通規格の実現に向けて取り組んでいます」。
IBMの基本暗号担当の基本研究サイエンティスト・マネージャのMichael Osborne氏は次のようにコメントしています。「IBM、NXP、Arm®の業界セキュリティ・エキスパートは学術パートナー(ENS、RAB、CWI、RUB)と協力し、今後数十年にわたって暗号化とセキュリティのあり方を形成し、業界をリードする提案を作成しました。Kyberは既存の規格よりも高速なだけでなく、量子時代を迎えてもシステムとデータを守る強力なセキュリティをクライアントに提供します」。
PQCの詳細については、NXP.com/PQC をご覧ください。
NXP Semiconductorsについて
NXP Semiconductors N.V.(NASDAQ: NXPI)はイノベーションを通じて、よりスマートな、安全で持続可能な世界を実現します。組み込みアプリケーション向けのセキュアなコネクティビティ・ソリューションで世界をリードするNXPは、オートモーティブ、インダストリアル& IoT、モバイル、通信インフラの各市場で新たな可能性を拓いています。60年以上にわたって蓄積した経験と技術を活かし、NXPは世界30か国強で約3万1,000名の従業員を擁しています。2021年の売上高は110億6,000万米ドルでした。詳細はWebサイトwww.nxp.comをご覧ください。
NXPジャパンはNXP Semiconductorsが開発および製造するプロセッシング・ソリューション、認証技術、コネクティビティ、高出力RFやアナログ製品などを日本市場に提供しています。本社は東京都渋谷区で、名古屋および大阪に営業所があります。詳細はWebサイトwww.nxp.jp(日本語)をご覧ください。
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