車載市場の信頼されるパートナーとして革新的なソリューションを提供するNXP Semiconductorsは新しい車載マイクロコントローラ(MCU)「S32K5ファミリ」を発表しました。S32K5ファミリは 自動車業界初の磁気抵抗メモリ(MRAM)を内蔵した16nm FinFETプロセスのMCUです。MCUファミリ「S32K5」はNXP CoreRideプラットフォームを拡張し、スケーラブルなソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)アーキテクチャ向けのゾーン・ソリューションと電動化システム・ソリューションを統合可能です。
多くの自動車メーカーはゾーン・アーキテクチャを採用していますが、電子制御ユニット(ECU)機能の分散と統合には各社それぞれ異なるアプローチを取っています。これらのゾーン・ソリューションの基盤となるのが、リアルタイム性能と低レイテンシの決定論的通信、革新的なアイソレーション機能を併せ持つ次世代MCUアーキテクチャです。
「新しいS32K5ファミリはゾーン・ソリューションに不可欠なセーフティ、効率性、アイソレーションを犠牲にすることなく、MCUの性能を新たな次元に高めます。S32K5を搭載したNXP CoreRideプラットフォームは自動車メーカーやTier 1企業におけるゾーン・アーキテクチャ開発の加速に貢献し、ソフトウェア主導のイノベーションに向けたスケーラブルな基盤を提供します。」
NXP、SVP 兼 車載マイクロコントローラ担当GM Manuel Alves
NXPの新しいS32K5ファミリは、最大800 MHzで動作するArm® Cortex® CPUコアを搭載し、16nm FinFETプロセスにより電力効率に優れたアプリケーション性能を提供します。最適化されたアクセラレータを活用することで、ネットワーク変換、セキュリティ、デジタルシグナルプロセッシングなどの主要なワークロードを高速化することができます。NXPのS32Nファミリの車載プロセッサと共通の統合されたイーサネット・スイッチ・コアは、実績のあるネットワークソリューションを提供し、ネットワーク設計の効率化とソフトウェアの再利用を可能にします。
S32K5は、ソフトウェアで定義され、ハードウェアで強制的にアイソレーションするアーキテクチャを採用しているため、自動車メーカーはセーフティ、セキュアなパーティショニングを実装できます。そのため、安全性や性能を犠牲にすることなく、ASIL Dまでの安全アプリケーションを統合することができます。
さらに、S32K5はNXPのスケーラブルな機械学習アクセラレータ専用のeIQ® Neutronニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)も搭載しており、車両エッジで機械学習アルゴリズムを使用した、電力効率の高いリアルタイムのセンサ・データ処理が可能です。
さらに、高性能のMRAMがオンチップで搭載されており、工場出荷時とOTA (Over-the-Air)アップデート時の両方でECUプログラミングを加速し、組み込みフラッシュ・メモリに比べて15倍以上速い書き込み速度を実現します。S32K5はポスト量子暗号(PQC)機能を含むNXPの最新のセキュリティアクセラレータと組み合わせることにより、自動車メーカーが自動車のライフタイムを通じてセーフティ、かつセキュアに新機能をデプロイできるため、自動車の生産時にも使用時にもメリットがあります。
S32K5は、2025年第3四半期に主要なお客様向けにサンプリングが開始される予定です。
「自動車メーカーはSDVにおける最先端の運転体験を提供するため、ゾーン・アーキテクチャを採用する必要性が出ています。NXPのS32K5 MCUは、Arm Cortexテクノロジを活用し、イノベーションと最高レベルの機能安全性を実現します。」
Arm オートモーティブ・ライン、オートモーティブ・プロダクト&ソフトウェア・ソリューション担当VP Suraj Gajendra氏
「自動車ソフトウェアのエコシステム内におけるチームワークだけではソフトウェア・デファインド・ビークルの将来を保証するには十分ではありません。スピードも重要な要素です。Synopsys社のVirtualizer Development Kit(VDK)を活用し、EB tresos AutoCore OSおよびClassic AUTOSARスタック全体のポーティングを行うことで、NXP CoreRideプラットフォームの活用を最大化するダイナミックな役割を担えることを誇りに思います。EB tresosのVDKへのポーティングにより、当社の製品が最初のサンプルとしてより早く利用できるようになるだけでなく、NXPのK5の顧客もアプリケーション開発をより早く開始できるようになります。私たちは、NXPの新しいS32K5マイコンと一緒に、より高いASIL D要件に対応するセーフティOSをサポートできることを楽しみにしています。」
Elektrobit Automotive GmbH 戦略・ポートフォリオ部門ヘッド Jagan Rajagopalan氏
「自動車メーカーが複雑な課題を解決し、ゾーン・アーキテクチャに移行するためには強力なエコシステムとのパートナーシップが不可欠です。先進的な設計能力、製造能力を持つFlexと、スケーラブルなS32K5 MCUやソフトウェアを提供するNXPが提携することにより、生産の迅速化、コストの最適化、ソフトウェア・デファインド・ビークルの大規模な展開を可能にする車載グレードのモジュール式ハードウェア・プラットフォームを自動車メーカーに提供することができます。」
Flex オートモーティブ担当プレジデント Mike Thoeny氏
「Green Hills SoftwareはNXPのマイコン・ファミリ『S32K5』向けにRTOS、ハイパーバイザ、高度な開発ツール・ソリューションを提供します。Green Hillsの量産向けソフトウェア・ソリューションはNXPの最新車載用プロセッサ『S32』と連携するように統合、最適化されています。お客様は高性能のリアルタイム制御、通信アクセラレーション、ハードウェア強制アイソレーション機能を兼ね備えたマイコンであるS32K5をフルに活用することで、新しいSDVゾーン・アーキテクチャの機能を安全に実行し、統合することができます。」
Green Hills Software ビジネス開発担当担当VP Dan Mender氏
「SonatusはNXPとのパートナーシップを通じて、CoreRideプラットフォームと車載用マイコン『S32K5ファミリ』を支援できることを誇りに思います。今回発表された新製品はゾーン・アーキテクチャの普及を加速させ、SDVの可能性を最大限に引き出す大きな前進となります。SonatusのZonal Network ManagerはS32K5を活用してネットワーク管理を簡素化し、E/Eアーキテクチャに柔軟性を追加することで、車両を出荷した後も継続的に改善されることを保証します。」
Sonatus CTO兼共同創業者 Yu Fang氏
自動車メーカーがソフトウェアとハードウェアの統合の障壁を克服し、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)の新しいアーキテクチャ開発を拡大する上で、 NXP CoreRide プラットフォーム は大きなサポートとなります。NXP CoreRideプラットフォームはNXPのS32のコンピューティング、ネットワーキング、システム電源管理機能以外にも、Accenture ESR Labs、ArcherMind、BlackBerry QNX、Elektrobit、ETAS、Green Hills Software、Sonatus、Synopsys、TTTech Auto、Vector Informatik、Wind Riverなどの世界をリードする車載ソフトウェア・プロバイダや、ValeoなどのTier 1サプライヤ、Foxconnなどのインテグレーション・サービス・プロバイダが提供するミドルウェア、OS、その他のソフトウェアと連携しています。
NXP Semiconductors N.V. NXP Semiconductorsは車載、インダストリアル& IoT、モバイル、通信インフラ市場における革新的ソリューションの信頼あるパートナーです。NXPでは「Brighter Together」アプローチにより、最先端のテクノロジとパイオニア精神を持つ人材の両方を活用し、より良く、安全・安心なコネクテッド・ワールドを実現するシステム・ソリューションを開発しています。現在、NXPは30か国以上で事業を展開しており、2024年の売上高は126億1,000万米ドルとなりました。詳細はWebサイトwww.nxp.comをご覧ください。
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Photo: NXP、ゾーンSDVアーキテクチャを進化させ、NXP CoreRideプラットフォームを拡充する新しいS32K5マイコン・ファミリを発表Download photo (3950 KB).