2024年初頭にリリースされたNXP CoreRideプラットフォームは、ソフトウェアとハードウェアを統合し、プロセッシング、車載ネットワーク、システム・パワーマネジメントを1つの使いやすい車載統合プラットフォームに組み合わせた初の開発ソリューションとして、最高のパフォーマンスを実現し、市場投入までの時間を短縮します。NXPは新たにS32Jファミリの高性能イーサネット・スイッチを導入し、より効率の高い再構成可能なネットワークの選択肢をOEM各社に提供します。
S32Jファミリは、NETCスイッチ・コアを共通のネットワーク基盤としてNXP S32プロセッシング・デバイスと共有し、それらが単一の拡張仮想スイッチとして機能できるようにしています。これにより、新しく導入されたNXP CoreRideプラットフォームに含まれる他の製品間での統合とソフトウェアの再利用が促進され、より柔軟で効率的なネットワーキング・オプションが提供されます。
自動車メーカーにとってのパラダイム・シフト
ソフトウェア・デファインド・ビークル (SDV) は、自動車メーカーに対して、一貫した価値と新しい機能を顧客に提供する大きな可能性をもたらし、自動車市場の将来を象徴する存在となっています。SDVは、その寿命全体を通じて、従来の車載アーキテクチャでは不可能であったOTA(無線)アップデートにより、顧客に新しい機能を提供することができます。しかし、このような流れに伴いOEMが直面する課題の1つが、進化するE/Eアーキテクチャの信じられないほどの複雑さです。
開発上の課題を減らし、コストを削減し、開発期間を短縮する必要性が、NXP CoreRideプラットフォームを生み出す契機となりました。
今回、NXPは、次世代E/Eアーキテクチャをサポートする包括的で拡張性の高い車載ネットワーク機能を備えたNXP CoreRideネットワーキング・ソリューションを導入しました。従来の車載設計では、ECUの開発は複数の半導体コンポーネントとソフトウェア・コンポーネントの統合に依存しており、それぞれが個別のプロバイダからの構成とサポートを必要としていました。これはシステムのパフォーマンスにとって最適とは言えず、無駄な開発時間が費やされます。NXP CoreRideプラットフォームは、複数の処理デバイスに対して共通のスイッチ・コアを統合することでネットワーク構成を簡素化し、ソフトウェアのシームレスな再利用とソフトウェア・デファインド・ビークルに向けた効果的な統合を可能にします。
機敏なネットワークとシームレスな統合
SDVでは、固定されたハードウェア機能の代わりに更新可能なモジュール型のソフトウェア機能が使用されます。新しいモジュールを追加し、古いモジュールを再配置することで、新しい機能を導入したり、既存の機能を最適化したりできます。そのためには、ネットワークがスケーラブルかつ設定可能であることが求められます。各OEMは、不可欠な要素となるネットワークについて、それぞれ異なる方法で設計アーキテクチャを構築する必要があります。これには、フラット、ドメイン、セントラル・コンピューティングのほか、ハイブリッド・ゾーンやゾーン・アーキテクチャなどの組み合わせも含まれ、柔軟なネットワーキング・オプションの必要性がさらに高まります。ソフトウェアとアーキテクチャの整合性がとれていないため、自動車メーカーは従来型のマルチECUからゾーン型または集中型処理への機能の移行に苦慮していました。NXP CoreRideネットワーキング・ソリューションは、各ネットワーク・ノードのエンド・ツー・エンドの包括的な管理に加え、プロセッシングとネットワーキングの緊密な統合を実現します。これは、OEM各社が車両のクラスや世代を超えて拡張できる柔軟な車載アーキテクチャを開発するために求められる要件の1つです。また、ユーザーがさまざまな車載機能を互いに分離できるため、アプリケーション間の干渉が発生せず、リソースを動的に再割り当てすることで、時間の経過に伴うアプリケーションのパフォーマンス低下を防止します。
NXPのリーダーシップの活用
NXP CoreRideネットワークは、NXPのハードウェアを専門のパートナー・エコシステムのソフトウェアおよびツールと統合することで、NXPのエンド・ツー・エンドの能力を拡張します。これにより、自動車メーカーは各自の開発アプローチの中で、安全な運用と優れた機敏性を実現できます。このソリューションは、複数のECUにまたがるスイッチの仮想化、ネットワーク・パフォーマンスの最適化、セキュリティ機能、監視機能、車両状態遷移の合理化など、事前に設定済みおよびテスト済みのさまざまなネットワーク機能を提供します。OEMがセーフティとセキュリティのための堅牢なフレームワークを確立できるよう支援することで、このソリューションは、イノベーションの加速、コンポーネントのパフォーマンス向上、コストの削減を促進します。最新のイーサネット・ベースのTime-Sensitive Networking (TSN) およびSoftware-Defined Networking (SDN) テクノロジを活用したNXP CoreRideネットワーキング・ソリューションは、配線、複雑さ、コストを最小限に抑えるのに役立ちます。この柔軟性により、OEM各社はSDV内でのソフトウェア機能の迅速な導入、更新、再配置が可能になり、変化し続ける自動車の機能やアプリケーションに対応しながら、トップクラスのパフォーマンス、信頼性、セキュリティを確保できます。
新しいS32Jイーサネット・スイッチ・ファミリは、NXP CoreRideプラットフォームの次なる土台となります。NETCを共通の基盤として活用しながら、NXPの幅広いプロセッシング・ポートフォリオをネットワーキングで拡張します。NXP CoreRideは、包括的なエコシステム全体にわたる世界の代表的な自動車エキスパートのソフトウェアと組み合わせることで、開発期間を大幅に短縮し、SDVの採用を阻む主な障壁の1つを取り除きます。