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超広帯域無線(UWB:Ultra-Wideband)は、一般にUWBと呼ばれる堅牢な無線通信テクノロジで、非常に多くのことを実行でき、分類が困難なほど汎用性の高いテクノロジです。
例えば、UWBは、レンジング・テクノロジとして利用されることが多く、物の所在を特定するために使用すると、置き忘れたり紛失したりする可能性のある財布などを簡単に見つけられるようになります。また、ロケーション・テクノロジでもあり、距離を測定したり、動きの方向を特定したりして、空港やショッピング・モールなどの広い屋内空間をナビゲートするために使用されます。UWBロケーションでは、他のデバイスを自分のスマートフォンやスマートウォッチの存在に応答させることもできるため、自分の現在位置に基づいて玄関のロックやロック解除を行ったり、車に近づくと運転席側のドアのロックを解除してエンジンを始動させ、車から離れるとそのプロセスを逆順に実行させたりすることができます。
また、UWBはレーダー・テクノロジでもあり、存在や動きを感知するために使用すると、誰かが部屋から出たかどうかを知ることや、生産施設で物体を追跡することが簡単にできます。UWBレーダーは人命救助にも役立ちます。非常時に生命の兆候を検知することや、より日常的な場面では、車内の子ども検知システムの一部として利用して、駐車している車の後部座席に子どもが検知された場合にドライバに警告することができます。
これらの機能を組み合わせることで、UWBは日常的に使われるシステムをよりスマートに、より安全に、より自律的にすることができます。例えば、自宅、路上、医療施設、インダストリアル環境にあるUWBを搭載したシステムでは、レンジングとレーダーをさまざまに組み合わせて、存在、位置、動きを利用した新しい種類の空間認識を可能にすることで、省エネや高度な自律性を実現したり、人の安全を確保したり、ありふれた体験をより直感的で楽しいものにしたりできます。
また、UWBは、Wi-Fi、Bluetooth、近距離無線通信 (NFC) など、定着した他のワイヤレス・プロトコルと簡単に組み合わせることができるため、開発者はUWBを他のワイヤレス・プロトコルと組み合わせて、消費電力を最適化したり、ユーザーとのやり取りを簡素化したり、精度を向上させたりする方法を見つけています。
UWBのような、デバイス間やデバイスとインフラストラクチャ間のアプリケーションを含む、さまざまなユーザー・エクスペリエンスやサービスを可能にするテクノロジにとって、標準化は非常に重要です。チップセットの供給が、コンシューマー向けのモバイルやIoTデバイスから車載まで、さまざまな分野でのテクノロジの展開と採用の増加に役立っています。その結果、さまざまなセグメントに対応する相互運用可能なUWBソリューションの標準の開発をサポートするために、いくつかの異なるエコシステムが設立されました。ここでは、UWBの発展を導いている主要なグループをいくつか詳しく見てきます。
ユーザーがUWB対応デバイスを使用して、自宅のエアコンや車へのアクセスなど、他のUWB対応デバイスと相互通信できる世界を思い描いているため、安全で相互運用可能なソリューションの開発にエコシステムの活動が必要になります。このようなシームレスな相互通信を実現するために、FiRa、CCC、CSAなどの業界のステークホルダーが頻繁に協力しています。個別にUWBの異なる側面に注力することもできますが、相互運用性を促進し、規模を確立し、次世代のUWBユース・ケースを推進するために協力しています。
UWBがこのような幅広いユース・ケースで急速に成長しているもう1つの理由となっているのが、このテクノロジが現在、Apple、Google、Samsungなどの最新のフラグシップ・スマートフォンの標準機能になっているという事実です。
これにより、UWB機能の既製のインフラストラクチャが生み出され、開発者がすぐに利用できるようになっています。それが特に顕著なのが消費者向けのアプリケーションです。アセット・トラッカー、デジタル・キーのほか、ファン、ランプ、スマート・スピーカをはじめとするさまざまなスマートホーム・デバイスなどがあり、それらはUWB対応スマートフォンが近づくと相互通信し、応答します。
この分野のUWB対応デバイスは10億台を超え、ABI Researchは、UWBテクノロジの年間出荷台数は2025年までに5億台以上になると予測しています。UWBを標準機能として提供するスマートフォンやスマートウォッチなどのウェアラブル/ポータブル機器が増えるにつれて、消費者がUWBテクノロジにますます慣れ親しみ、それによって、UWBを利用したユース・ケースの需要が高まります。
UWBテクノロジは、車載、モバイル、インダストリアル&IoTデバイスのいずれにも利用されています。Trimension UWB製品がどのようにして安全なレンジングとレーダー機能を通じてさまざまなユース・ケースを実現しているかをご確認ください。
UWBは、標準化団体によって推進され、一般的な消費者向けデバイスで広く利用できるようになり、勢いを増し続けているため、NXPでは、日常生活におけるさまざまなこととシームレスに融合するシステムの標準になると予想しています。次に、進行中のユース・ケースの例をいくつか示します。
UWBは、非常に汎用性の高いテクノロジであり、幅広いユース・ケース、アプリケーション、市場に適している可能性があるため、どこから始めればよいかわからないことがあります。そこでNXPの出番です。
NXPは、レンジングとレーダーへのUWBの採用を支援し、業界でも特に幅広いUWBソリューションのポートフォリオを提供しています。NXPのモバイル、インダストリアル、IoT、車載向けのUWB Trimension®製品は、レンジングおよびレーダー・アプリケーションをサポートし、相互運用性を考慮して設計されています。NPXは、最先端のアプリケーションやFiRa、CCC、CSAなどの業界グループと深く関わっています。そのことが、UWB対応デバイスの定義、開発、導入の面で有利に働いています。また、関連するすべての分野で深い専門知識を持ち、完全なシステム・ソリューションを提供しているため、お客様は統合に対するNXPのアプローチの恩恵を受け、R&Dリソースを節約できます。
Trimension UWB、日常の体験を変革するテクノロジの能力、およびお客様を支援するNXPの取り組みの詳細をご覧ください。
Marc Manningerは、半導体業界で9年の経験を持つ製品およびマーケティング・マネージャです。サンパウロとGraz University of Technologyで学び、ソフトウェア工学と経営学の修士号を取得しています。専門職としてのキャリアでは、スマート・カー・アクセス向けのさまざまなソフトウェア・プロジェクトと製品に取り組んできました。現在は製品およびマーケティング・マネージャとして、車載用UWB、NFC、セキュア・エレメントを担当しています。
Bernhard Grosswindhagerは車載UWBを担当する製品およびマーケティング・マネージャであり、製品とマーケティング戦略に貢献しています。Graz University of Technologyで電気工学の博士号を取得し、UWBを利用した位置測定と通信に関する研究を行っています。学問的なキャリアとは別に、医療工学と自動車の分野でも幅広い職務を経験してきました。
Sunil Jogiは現在、NXPのUWB担当マーケティング・ダイレクタです。IoTアプリケーション向けUWBセンサ製品やUWBテクノロジを取り巻くエコシステム構築を担当しています。UWBテクノロジの標準化と認証の取り組みに積極的に参加しています。UWB以外にも、NFC、ペイメント、交通など、さまざまなテクノロジの製品やエコシステムの開発に20年以上の経験があります。さらに、超広帯域無線テクノロジに関する本を共同執筆する機会に恵まれ、コネクティビティとセンサ・テクノロジに関する複数の特許を取得しています。
タグ: テクノロジ, ワイヤレス・コネクティビティ