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NXPは自社のAI/機械学習開発ソフトウェア「eIQ」に、RAG(検索拡張生成)による最適化を備えたGenAIフローと「eIQ Time Series Studio」を追加しました。これにより、小さなマイクロコントローラ(MCU)からより大きく強力なアプリケーション・プロセッサ(MPU)まで、幅広いエッジ・プロセッサへのAIの展開と利用を促進します。
NXP SemiconductorsはeIQ AI/機械学習開発ソフトウェアに2つの新しいツールを追加したと発表しました。この新しいツールにより、幅広いエッジ・プロセッサへのAIの展開と利用がより容易になります。
eIQ Time Series Studioは自動化された機械学習ワークフローを備えており、MCUのMCXポートフォリオやクロスオーバーMCUのi.MX RTポートフォリオなど、MCUクラスのデバイスにおける時系列ベースの機械学習モデルの開発と展開を容易にします。
GenAIフローは生成AIソリューションを実現するLLM(大規模言語モデル)の構成要素を提供します。この生成AIソリューションはNXPのアプリケーション・プロセッサ「i.MXファミリ」などのMPUと組み合わせて使用するように設計されており、特定のコンテキスト・データでLLMをトレーニングすることにより、エッジへのインテリジェンスの展開が容易になります。例えば家電製品の場合、ユーザーマニュアルでトレーニングしたLLMを搭載することにより、特定機能のアクセス方法、特定タスクの実行方法、使用法やメンテナンスの最適化方法を自然言語で対話するようにユーザーに表示できるようになります。
エッジでAIを展開すると、レイテンシの短縮、ユーザー・プライバシーの向上、電力消費量の削減などのメリットが得られます。今回NXPがeIQツールキットを拡張したことにより、エッジでのAI展開が非常に簡単かつ迅速になり、生成AIから時系列ベースのモデル、ビジョンベースのモデルまで、開発者は幅広い種類のモデルを利用できるようになります。また、ユーザーはこれらのAIモデルを広範なエッジ・プロセッサに展開することができます。
「AIはユーザーの要望やニーズを予測して自動化する分野で鍵となる技術ですが、実際にエッジ展開しやすい形で開発する必要があります。NXPはMCXポートフォリオやi.MX RT700などのクロスオーバーMCUで展開する小規模AIモデルだけでなく、i.MX 95アプリケーション・プロセッサのような強力なデバイス上で動作する大規模生成AIモデルにも適した、すぐに利用可能なツールを提供することで、AIモデルやAI対応エッジ・プロセッサの全領域にわたって、他社にはない広範な選択肢を開発者に提供しています。NXPは開発者がエッジAI技術をさまざまな市場で活用できるようなソリューションを提供しています。」
NXP Semiconductors、上席副社長 兼 インダストリアル/IoT担当ゼネラル・マネージャー、Charles Dachs
eIQ Time Series Studioは時系列ベースのAIモデルの開発と展開を簡素化し、それらにかかる期間を短縮します。電圧、電流、温度、振動、圧力、音、タイム・オブ・フライト(ToF)など幅広い入力信号をサポートするだけでなく、それらの信号を組み合わせてマルチモーダルなセンサ・フュージョンにも対応できます。自動機械学習機能が備わっているため、開発者は生の時系列データから意味のあるインサイトを抽出し、性能、メモリ、フラッシュ・ストレージ容量、精度の基準を満たすようにカスタマイズされたAIモデルを短時間で構築することが可能になります。今回発表したツールは包括的な開発環境として、データのキュレーション、可視化、分析、モデルの自動生成、最適化、エミュレーション、展開などに利用できます。直感的に操作できるインターフェースを備えているため、ソフトウェア開発者はデータサイエンスの深い理解やAIの専門知識がなくても、最適化された異常検知、分類、回帰の各ライブラリを構築できます。
NXPのGenAIフローを使用すると、エッジ・デバイス上で生成AIアプリケーションを利用できるようになります。このソフトウェアのパイプラインにおいて、LLMなどの生成モデルを最適化することが可能です。また、GenAIフローにはRAG(検索拡張生成)機能も搭載されています。RAGとはモデルやプロセッサのプロバイダに機密情報を渡さずに、ドメイン固有の知見やプライベート・データに基づいてモデルを安全に最適化する手法です。複数のモジュールを単一フローで連結することで、ユーザーはLLMをタスクに合わせて簡単にカスタマイズでき、NXPのi.MX 95アプリケーション・プロセッサなどのMPUを使用するエッジに展開できるよう最適化することが可能です。
これらの機能が追加されたeIQ機械学習開発環境の最新バージョンの入手方法や詳細については、NXP.com/eIQをご覧ください。また、GenAIフローのホワイトペーパー『Deploy generative AI at the edge securely and efficiently: A methodology for optimized LLMs on microprocessors(生成AIの安全かつ効率的なエッジへの展開:マイクロプロセッサ上の最適化されたLLMのための方法論)』、NXPのブログ『Introducing the eIQ Time Series Studio: Streamlined Edge AI Development(eIQ Time Series Studioのご紹介:合理化されたエッジAIの開発)』も併せてご覧ください。
NXP Semiconductors N.V. NXP Semiconductorsは車載、インダストリアル& IoT、モバイル、通信インフラ市場における革新的ソリューションの信頼あるパートナーです。NXPでは「Brighter Together」アプローチにより、最先端のテクノロジとパイオニア精神を持つ人材の両方を活用し、より良く、安全・安心なコネクテッド・ワールドを実現するシステム・ソリューションを開発しています。NXPは30か国強で事業を展開しています。2023年の売上高は132億8,000万米ドルでした。 詳細はWebサイトwww.nxp.comをご覧ください。
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