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NXP Semiconductorsは産業用制御、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、テレマティクス、産業用および自動車用ゲートウェイ、ビルディング/エネルギー制御向けに設計されたi.MX 9アプリケーション・プロセッサ・シリーズの最新製品「i.MX 94ファミリ」を発表しました。
セキュアなリアルタイム通信は産業用/車載用アプリケーションに不可欠です。複雑化が進行する産業環境では多様な通信プロトコルが使われており、リアルタイムの通信と制御のニーズに応えるインテリジェントなTSNスイッチが必要とされています。自動車業界ではソフトウェア・デファインド・ビークルへの移行が加速しており、基盤となるビークル・アーキテクチャはイーサネット・ベースの通信への依存度を高めています。
i.MX 94ファミリは通信機能、安全機能、リアルタイム制御機能を1つのSoCに統合することで、複雑化が増すなかで、リアルタイムの通信と動作が要求される環境に最適なエンド・ツー・エンドの性能を提供します。統合された2.5GbpsイーサネットTSNスイッチは産業用アプリケーションと車載用アプリケーションの両方で多様なプロトコルをサポートし、高度に設定可能でセキュアな通信を可能にします。
「コネクティビティは以前よりも複雑になっており、その複雑さを簡素化するためにi.MX 94ファミリは設計されています。i.MX 94ファミリは今日の産業オートメーションや車載テレマティクス・アプリケーションに必要な高性能エッジ・プロセッシングと、将来のイノベーションを実現するために必要な先進ネットワーキング、セキュリティ、セーフティ、AIの各機能を提供します。」
NXP Semiconductors、上席副社長 兼 インダストリアル/IoT担当ゼネラル・マネージャー、Charles Dachs
i.MX 94ファミリは64ビット・アプリケーション・プロセッサのマルチコア・ソリューションとして、Linuxの動作が可能な最大4つのArm® Cortex®-A55コアに加え、2つのCortex-M33コアと2つのCortex-M7コアを搭載し、リアルタイム処理能力を向上しています。NXPのリアルタイム・エッジ・ソフトウェア・フレームワークは、開発者がこれらのコアのいずれにおいても動作するリアルタイム・タスクとアプリケーション・レベルのタスクを適切に組み合わせた設計を可能にします。さらに、QNX NeutrinoやGreen Hills Integrityなど、特定の用途向けに設計されたさまざまなサードパーティ製商用OSでi.MX 94ファミリの演算能力を活用することもできます。また、統合された機能安全アイランドと設定可能なセーフティ・パーティションも搭載しており、IEC61508 SIL2とISO26262 ASIL-Bに準拠しています。
i.MX 94ファミリは2.5GbpsイーサネットTSNスイッチを統合した初のi.MXアプリケーション・プロセッサで、高速な初期化と低消費電力モードのサポートを特長としています。NXPのリアルタイム・エッジ・ソフトウェアはレガシーなプロトコルからOPC-UA FXやOPC-UA PubSubなどの最新のプロトコルまで、さまざまな産業用プロトコルをサポートしています。また、ネットワーク仮想化をハードウェアでサポートしており、XDPやDPDKなどのオープン・スタンダードをベースとする、複雑なマルチコアのユースケースを実現する上で鍵となるソフトウェア・デファインド・ネットワーキングをサポートします。i.MX 94ファミリは、Profibus、Modbus、CANopen、IO-Linkなどの従来のシリアル・フィールドバス・プロトコルに加え、Profinet、EtherCAT、Ethernet/IP、CC-Linkなどのイーサネット・ベースのリアルタイム・ネットワーキング・プロトコルもサポートしています。さらに、これらのプロトコルのTSN実装(AVB/TSN、Ethernet OPC-UA、Profinet Over TSNなど)もサポートされています。そのため、i.MX 94ファミリは現在だけでなく将来においても産業オートメーションのアプリケーションに適しています。
i.MX 94ファミリはポスト量子公開鍵暗号をサポートするNXP初のアプリケーション・プロセッサです。量子コンピュータを悪用した攻撃を回避し、機器のセキュリティを長いライフサイクルにわたって確保することができます。統合されたEdgeLockセキュア・エンクレーブ(アドバンスド・プロファイル)により、いつでも機器を設定し、信頼できる状態に復元することができ、ポスト量子暗号に基づいたセキュアブート、セキュア・デバッグ、プロセッサのセキュアアップデートなどの高度なセキュリティ機能を性能を落とさずに提供します。また、攻撃者を排除してシステムを信頼できる状態に自動的に回復させる機能や、EdgeLock 2GOキー管理などのランタイム保護機能も組み込まれています。
産業用TSNアプリケーションや車載コネクティビティ・アプリケーション向けに、i.MX 94はEdgeLockアクセラレータ(Prime)を搭載しています。この暗号アクセラレータは高速起動、リアルタイムの高速メッセージ署名、認証、5G速度でのセキュア通信用暗号化を実現します。
i.MX 94ファミリはIEC 62443やISO 21434などのセキュリティ規格や、欧州のサイバー・レジリエンス法などの新しい規制にも対応しています。そのため、OEMやアセット所有者にとって、現場でサイバー・インシデントに対処し、復旧するための新たな手段を得ることになり、機器の可用性の維持と攻撃の影響の軽減を図ることができます。
NXPのeIQ Neutron NPUはeIQ機械学習ソフトウェア開発環境でサポートされており、0.5 TOPSの機械学習性能を持っています。リアルタイムでの予知保全やオペレーターへのガイダンス、欠陥スキャンや機械診断が可能です。このNPUは機械学習支援型のサイバーセキュリティで侵入検知と保護を行う適応性と拡張性が非常に高いセキュリティ機能を有しており、将来にわたって重要なシステムとインフラを不正アクセスから守ります。
i.MXポートフォリオ全体にわたる拡張性を提供することで、i.MX 94ファミリはシステムレベルの設計アプローチをサポートします。例えば、同時開発されたコスト効率の高いパワー・マネジメント・ソリューションであるNXPのPMIC「PF9455」によるイネーブルメントもその1つです。i.MX 94ファミリはNXPの広範でスケーラブルなワイヤレス・ソリューション製品ラインナップとシームレスに統合されています。 その一例として、Wi-Fi 6、Bluetooth® 5.2、802.15.4をサポートし、多様なプロトコルとエコシステムでスマート・デバイスを簡単に接続できる産業用/IoTアプリケーション向けのトライラジオ・ソリューション「IW612」が挙げられます。また、高集積SoCの「AW693」もあります。AW693はWi-Fi 6EとBluetooth 5.3の同時利用で高度な車載セキュリティを提供して車内での複数のセキュアな接続を実現し、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)への移行をサポートします。
i.MX 94ファミリは2025年第1四半期にサンプル供給を開始する予定です。詳細については、NXP.jp/iMX94 をご覧ください。 詳細はwww.nxp.com をご覧ください。
NXP Semiconductors N.V. NXP Semiconductorsは車載、インダストリアル& IoT、モバイル、通信インフラ市場における革新的ソリューションの信頼あるパートナーです。NXPでは「Brighter Together」アプローチにより、最先端のテクノロジとパイオニア精神を持つ人材の両方を活用し、より良く、安全・安心なコネクテッド・ワールドを実現するシステム・ソリューションを開発しています。NXPは30か国強で事業を展開しています。2023年の売上高は132億8,000万米ドルでした。 詳細はWebサイトwww.nxp.comをご覧ください。
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