2024年、スマートホームは新時代を迎えようとしています。CSA (Connectivity Standards Alliance) の相互運用標準であるMatterの登場と、ホーム・コントロールに人工知能 (AI) と機械学習 (ML) が利用される事例が増えるという2つのトレンドが重なったことで、ホーム・ネットワークのセットアップ、保護、拡張、メンテナンスがかつてないほど簡単になりました。
技術的な知識のない普通の人でも、声を使ってライトを点灯させたり、スマートフォンのアプリをタップしてサーモスタットをプログラムしたりできる時代になったのです。「玄関のドアが開いたら玄関の電灯を点ける」など、単純なルール・ベースの機能も定義できます。
とはいえ、デバイスの動作とデバイスの応答は依然としてすべて人間が選択し、指定しています。必要なのは、もっと自律的な機能を簡単に追加できる手段です。そうすれば、環境の構成、制御、監視に必要な時間を減らすことができます。
スマートから自律型へ
そのため、生活空間に次の変革をもたらすのは自律性であると、NXPは考えています。スマートホームから自律型ホームへの移行によって、数十年前からの構想が現実化することになります。照明、冷暖房空調設備 (HVAC)、セキュリティ、エンターテインメントなどの領域を個別に管理するのではなく、住宅全体をまるごと監視し、制御できるようになるでしょう。
住宅全体のオーケストレーションによって、空間認識、相互運用性、シームレス・コネクティビティ、高度なセキュリティなど先進的機能を組み合わせて、動的で応答性の高い住宅環境を作り出します。自律型ホームでは、生活空間の設定を行うことで、住宅が生活パターンを学習し、住人のニーズを予測して、日々の生活がより便利に、より安全に、より高いエネルギー効率になるように見えないところで調整してくれます。
自律型ホームのパイオニア
NXPは、自律型ホームのさまざまな要素の実現に貢献しています。まず、NXPが提供しているMatterポートフォリオの幅広さは業界トップクラスであるため、住宅で使用されるデバイスに安全な相互運用性を簡単に追加できます。同時に、NXPはエコシステム全体のお客様やパートナーと緊密に連携して、想定されるユーザー・ニーズに応じて検知、思考、接続、行動できるシステム・レベル・ソリューションの開発に取り組んでいます。
新しいNXPプラットフォーム・アクセラレータ
さらに、自律型ホームへの移行を促進するために、開発者が次世代のアイデアを容易に形にできる手段を用意しました。新しいNXPプラットフォーム・アクセラレータは、フランスと米国を拠点とするプラチナ・パートナーであるMicroEJとの協業で設計されています。スマートホーム、スマートシティ、スマートファクトリの各用途で使用される組込みシステムに、仮想化やコンテナなどのクラウドネイティブなソフトウェア技術を導入することで、開発作業を簡素化できる仕組みです。
2024年における自律型ホームの主要トレンドに対応
NXPプラットフォーム・アクセラレータの取り組みは既に成果を上げており、業界をリードする企業がこのプラットフォームを使用して、ごく短期間で新しい設計を完成させるようになっています。パートナーとお客様はNXPの革新的なソリューションを基盤として、2024年に市場を席巻すると予想される次の主要トレンドに対応できます。
- 音声制御、音声認識、自然言語処理 (Speech-to-Intent) のローカル実行により、ユーザーがさらに自然な形でデバイスと対話できるようになります。
- UWB測距とレーダーを組み合わせることで 、新世代のパーソナライゼーション機能と高度なオーディオ機能が可能になり、エンターテインメントの臨場感が大きく高まります。
- 画像や動画から状況を判断できるAI搭載カメラを追加することで、室内環境を清潔に保ったり、不在時にオーブンなどの家電製品が危険な状況になっていることを検知しやすくしたりできます。
- センサと学習アルゴリズムを搭載したスマート・サーモスタットによって、環境を分析してパターンに対応し、消費電力を調整して、電力を節約できます。
- Matterデバイスの開発が簡易化され、ローカル制御とシームレスかつ相互運用可能なコネクティビティを住宅にもたらす次世代型デバイスが早期に市場投入されるようになります。
自律型ホームの体験
今週開催されるCES 2024(1月9~12日、ラスベガス)では、このような数々の新ソリューションをNXPブースの自律型ホーム体験でご紹介します。以下に、CESで来場者が試せる自律型ホーム体験をいくつかご紹介します。
AqaraデバイスによるMatterイネーブルメント
ホームコントロール分野の先進企業であるAqaraによる、Matterを拡張して部屋全体のエクスペリエンスを結合するデモを行います。今週発表されたことですが、NXPの安全性の高いワイヤレスMCUが、Aqaraの最新のMatterポートフォリオに加わった数多くの新型デバイスに搭載されています。
Samsung Galaxy S23+を使用した自動化と連携化
自律型ホーム体験では、来場者がNXPのTrimension™超広帯域無線 (UWB: Ultra-Wideband) 機能を搭載したSamsung Galaxy s23+スマートフォンを使用して、シミュレートされたホーム環境を操作できます。精密なUWB測距により、これまでにない精度で空間を認識できるようになり、他のスマートホーム・デバイスが現在位置を特定したり、誰がどの場所に長く滞在しているのかを把握したりできるようになります。
ソニー製テレビとPlayStation 5による臨場感あふれるエンターテインメント
ソニーのPlayStation 5と次世代テレビは、NXPのプロセッシング製品とコネクティビティ製品を採用することで、自律型ホームのリビングルームで想定されるような臨場感あふれるエンターテイメントを実現しています。ソニーは最近、NXPのi.MX RTクロスオーバーMCUの先進的機能を評価し、NXPをテレビ製品の短期開発における重要なパートナーとして位置付けました。
Diehl Controlsのタッチレス調理器具制御
NXPブースでは、ドイツのDiehl Controls社の3Sense®テクノロジを搭載した、安全性の高いキッチンコンロを展示します。この革新的なソリューションにはNXPのi.MX RTシリーズのクロスオーバーMCUが搭載されており、ユーザーは調理器具を新しいやり方で操作できます。3Senseテクノロジは、こする、触れる、押し込むという複数の状態をサポートするため、キッチンコンロ側でユーザーの操作を検出してジェスチャ、軽いタッチ、または押し込みに応答できます。過酷なキッチン環境での使用に対応して、操作部は防水仕様となっており、手袋を着用したままでも操作が可能です。
Whisker LabsのTingによる火災防止
この プラグイン・センサ は、米国メリーランド州のテクノロジ企業であるWhisker Labsが製造しています。データ技術とセンサ技術を利用して安全性を高めることを目的としたセンサで、電気機器の故障による火災を事前に検知して被害を抑制できます。地域全体にTingセンサのネットワークを構築することで、機器の損傷、住宅火災や人身事故、山火事が起こりやすい場所での火災などにつながる可能性のある電力網の故障を容易に検出できます。
住宅全体のオーケストレーションを約束
CESでの自律型ホーム体験は、スマートホームが住宅全体のオーケストレーションへと移行していることを示すものです。音声による家電製品の制御やスマートフォン・アプリによる照明制御など、これまで予想されてきた比較的単純な機能を超えて、その先へと向かいつつあるのです。未来で私たちを待ち受けているのは、生活空間全体が安全かつ自律的に調整される、完全に統合された住宅環境が実現された、真にインテリジェントな生活です。
NXP、NXPのパートナー、NXPのお客様が、すべての人のための住宅全体のオーケストレーションの実現に向けて行っている取り組みの詳細については、www.nxp.comをご覧ください。