OEMやTier 1サプライヤは、低コストで信頼性の高いイメージング・レーダー・センサ・テクノロジを容易に導入できるようになりました。NXPとsinProが開発した量産対応のエントリレベル4Dイメージング・レーダーは、このテクノロジの有用性を証明する製品です。
現代の車両の安全性を確保するうえで、レーダーは重要な役割を果たしています。ここ数年、車載レーダー市場では、性能面とコスト面のバランスが取れたエントリレベルの車載用イメージング・レーダー・ソリューションを求める声が高まっていました。世界中のOEMがこうしたソリューションを求めていましたが、特に渇望していたのが電動車 (EV) メーカーでした。EVはさまざまな地域で製造されていますが、中でも中国では、電気自動車という言葉がスマート・カーと同じ意味で使用されています。
NXPはこのニーズに対応するために、デュアルカスケード構成の16nm FinFET S32R41車載イメージング・レーダー・プロセッサとTEF82xx RFCMOSトランシーバを搭載した専用チップセットを提供しています。さらに今回、Tier 1サプライヤのsinProと連携して、エントリレベルのイメージング・レーダー・ソリューションを開発しました。このソリューションは、2024年下半期に最初のOEM生産が開始されます。
NXPのレーダー・チップセットと構成
レーダー・センサの世界トップシェア。NXPの車載レーダー・センサが多くの企業の要件を満たし、採用されている理由をご覧ください。
優れた検知能力により運転の安全性と快適性を向上
この4Dイメージング・レーダー・センサはNXPのレーダー・チップセットを使用して開発され、優れたコスト効率と高性能を実現しています。48個のチャネルを搭載し、以下の機能を備えています。
- 方位角1度の角度分解能
- 仰角2度
- 車両の検知範囲:最大370 m
- タイヤ(リム部分を除く)の検知範囲:最大130 m
このレーダー・センサは、フレームごとに高品質、高密度の2kポイント・クラウドを非常に低いレイテンシーで生成します。また、高密度のポイント・クラウドを基にして検知、クラスタリング、トラッキング、分類を行うための処理機能も統合されており、すべてNXPのS32R41車載イメージング・レーダー・プロセッサで実行されます。これにより、先進運転者支援システム (ADAS) や先進運転 (AD) ユース・ケースにおける以下のような重大な安全上の課題を解決できます。
- 2つの隣接する物体が一定の距離を保ちながら同様の速度で移動しているときに、その2つの物体を分離する
- 駐車している車の背後から現れる歩行者を発見する
- 低光量時および雨天、濃霧の際に、路上の小さな落下物や穴を発見する
このような状況が発生し、カメラ・システムによる即時の検知が難しいときに、イメージング・レーダー・センサがその役割を担います。これにより、道路走行中の安全性が高まり、高度なADAS/ADシステムでも対応できない可能性がある例外的なケースにも対処できます。
S32R41とTEF82xxで実現した、sinProによるエントリレベル・イメージング・レーダー・センサ
導入しやすさが迅速な普及につながる
このエントリレベル・イメージング・レーダー・ソリューションは、コストとパフォーマンスのバランスに優れ、幅広いお客様が導入しやすくなっています。このことは、普及が迅速化され、より多くの人々が道路交通安全の向上という利点を享受できることを意味します。また、このソリューションはL2+対応車両の普及を加速させ、L3以降の自律運転車両が一般に広く普及する未来を切り拓きます。
NXPのレーダー・チップセットは既に発売されています。sinProのイメージング・レーダー・センサは、2024年下半期にOEM生産開始予定です。