自動車業界は、ソフトウェア・デファインド・ビークル (SDV) への移行に向けた取り組みを進めています。コネクティビティとインテリジェンスをシームレスに統合する革新的なソリューションの需要は、かつてないほど高まっています。この変化に対応するため、NXP SemiconductorsとTTTech Autoは戦略的な協力関係の構築を通じて、それぞれの強みを活かしながら車載ネットワークに革新をもたらし、車載コネクティビティの可能性を最大限に引き出しています。
コネクティビティとセキュリティはモビリティの未来を形作る両輪であり、イーサネット、コントローラ・エリア・ネットワーク (CAN)、 ローカル・インターコネクト・ネットワーク (LIN) のそれぞれについて、より柔軟なバックボーンが求められています。そのため、車両内外に信頼できる通信ネットワークを確保することがますます重要になっています。
自動車メーカーでは、CANバスやLINバスに加えて車載イーサネット・リンクの使用が大幅な増えていることから、進化するコネクティビティ環境に対応する高度なソリューションの開発を必要としています。さらに、ISO 26262のセーフティ・コンプライアンスや、最近のUN R155、ISO 21434のサイバーセキュリティ規制などの厳しい規制要件により、車載エンジニアにとって設計プロセスはさらに困難さを増しています。
車載コネクティビティ・ソリューションの需要
いくつかの大手自動車メーカーは、革新的な車載コネクティビティ・ソリューションを求めて、TTTech Autoにアプローチしました。それらのメーカーは、最先端のチップセット・テクノロジを搭載した、シリーズ対応の電子制御ユニット (ECU) に興味を持っていました。TTTech Autoでは、新しいコントローラ・プラットフォームへの移行には課題とリスクがあり、潜在的な問題を軽減するには綿密な計画と信頼できるパートナーシップが必要であることを理解していました。
TTTech Auto N4ネットワーク・コントローラ は、自動車メーカーに対して、最新のE/Eアーキテクチャや高度なネットワーク機能を備えたSDVに適した高性能ECUを提供します。これは、CANとイーサネットの複数のネットワーク間でルーティングを行う中央のゲートウェイ制御ユニットとして機能します。TTTech Autoは、最適なパフォーマンスを確保しながら、セーフティ、セキュリティ、コネクティビティの課題に対処する必要がありました。そのため、自動車業界の厳しい要求に合わせた一流のコンポーネント、豊富なサポートに支えられた各種ツールとソフトウェア・エコシステム、安定した製品供給を保証する信頼性の高い長期製品供給プログラムなど、卓越した能力を持つNXPとの提携を選択しました。
TTTech Auto N4ネットワーク・コントローラ
NXPのソリューションには、車載ネットワーキング用のNXP S32G2プロセッサ、100BASE-T1 PHYを内蔵した安全かつセキュアなNXP SJA1110マルチギガTSNイーサネット・スイッチ、安全なマルチチャネルPMICであるNXP VR5510などが含まれ、シームレスな統合が可能です。TTTech AutoのN4ネットワーク・コントローラは、これらのコンポーネントを組み合わせて、コネクテッド・サービスのための高性能で安全なゲートウェイおよびコンピューティング・プラットフォームを実現します。N4ネットワーク・コントローラが車両内外のコネクティビティを確保する一方で、S32G2がセーフティ、サイバーセキュリティ、パフォーマンス、および優れたネットワーク機能をもたらし、SJA1110スイッチがイーサネット通信用の帯域幅を提供し、VR5510 PMICが電源を供給します。
NXP SemiconductorsとTTTech Autoとともにモビリティの未来に踏み出しましょう。両社の戦略的なコラボレーションが、車載コネクティビティのパワーを引き出し、イノベーションを推進します。
車載コネクティビティのための革新的なソリューション
TTTech Autoは、従来のSDVコンセプトの限界を認識し、システム、セーフティ、セキュリティ、ソフトウェアからなる4SDV戦略を導入しました。そして、4SDVへのアプローチを成功させるには、セーフティ、セキュリティ、可用性、堅牢性、統合の容易さ、アップグレード性を最初から統合するシステム・エンジニアリングの観点が必要であると考えました。
N4ネットワーク・コントローラは、これらの4SDVガイドラインに従っています。TTTech Autoは、中小規模の車両生産を対象としたECUソリューションの設計と開発に関する専門知識を活かして、N4ネットワーク・コントローラを構築しました。N4は最新の車載E/Eアーキテクチャの中核を成し、その高度なネットワーク機能とサイバーセキュリティ機能により、あらゆる車両に最先端のテクノロジを提供します。
S32G2プロセッサと組み合わせることで、機能安全とサイバーセキュリティ機能を実現し、自動車メーカーがOver-the-Air (OTA) アップデートやサブスクリプションベースのビジネス・モデルを導入するための基盤を整えると同時に、車両内のアーキテクチャをサイバー攻撃から保護できます。
この革新的なソリューションは高い柔軟性を備え、RTOS(AUTOSAR®など)とPOSIX(Linuxなど)を同時に、またはその一方だけを実行することもできます。この機能により、既存のコードの再利用が可能で、開発者は異なる複数のソフトウェア・スタック(BlackBerry QNXベースのものなど)を実行できるようになります。S32G2のLow Latency Communication Engine (LLCE) ファームウェア・アクセラレーション機能も、ゲートウェイのルーティングに役立ちます。
安全で信頼性が高く、相互接続されたNXPとTTTech Autoのソリューションにより、エンジニアはセキュア・ゲートウェイ、セーフティ・プロセッシング・ユニット、高性能プロセッシング・ユニットを簡単に開発できるようになります。
SDVの限界を押し広げる
NXPとTTTech Auto は、車載コネクティビティを強化することで、ネットワークの革新の限界を押し広げ、より安全で緊密につながった自動車エコシステムへの道を開きます。商業的な脅威として認識されていたものが、創造性とエンジニアリングの触媒となることが証明され、豊富なイーサネット・スイッチング機能とともにセーフティとパフォーマンスを確保できる、待ち望まれた最初のシリーズへと結実しました。
TTTech AutoとNXPのパートナーシップでは、両社の専門知識の相乗効果を活用し、セキュリティ機能の強化と異なるドメイン間でのシームレスな統合に重点を置きながら、高性能の車載セキュア・ゲートウェイやコネクテッド・サービス向けの高性能コンピューティング・プラットフォームを実現しています。