NXPの業界をリードするNFCコントローラ・ポートフォリオの新しい高集積製品であるPN7220は、次世代のPOS端末に最適化されています。Androidベースの操作をサポートし、他のサービスと組み合わせた支払いに対応し、大型のPOS画面でも卓越したパフォーマンスを発揮します。その上で、デザインインの簡素化とフットプリントの縮小を実現しています。人気の高いPN5190を含む、最新のNFCフロントエンド ICから簡単に移行することができます。
Androidへの移行
近年のPOS業界は、クラウド・コンピューティング、モバイル・コネクティビティ、データ分析などのテクノロジーの進歩により、大きなイノベーションがもたらされています。このようなイノベーションの結果、小規模小売店からエンタープライズ・チェーンまで幅広い規模の企業に対応し、効率性と適応性に優れ、ユーザーが使いやすいソリューションが生まれています。
近年、業界ではNFCをベースにした非接触型テクノロジの導入が進み、スマートフォンやウェアラブルなどの幅広い新デバイスを使用した決済を簡単に行えるようになりました。しかし、非接触型決済の移行が進む中でも、多くのPOSシステムはLinuxオペレーティング・システム (OS) に縛り付けられたままです。小売業者にとってAndroidへの移行は、新しい世界をもたらす可能性があります。
Android端末は、専用バージョンのLinuxで構築されていることが多い従来型端末よりもアップグレードが容易で、新機能も簡単に追加できます。これは、NFCコントローラ・インターフェース (NCI) がAndroidシステム向けにネイティブで最適化されたインターフェースであり、携帯電話で広く使用されているためです。最新のPOS端末にNCIを追加することで、POS端末のNFCリーダとAndroidアプリケーション・プロセッサ間の通信が単純化されます。
マルチユース機能
PN7220は、EMVCo3.xおよびNFC Forum準拠のNFCコントローラとして初めてNCI 2.2インターフェースを搭載し、複数のホストプロセッサの接続に対応してします。PN7220は、最適化されたNCI 2.2ソフトウェア・スタックによってNCI 2.2インターフェースをサポートしているため、EMVCoトランザクションのタイミング要件への対応が容易です。そのため、PN7220を導入したPOSシステムでは、消費者が期待するスムーズで素早いトランザクションを実現できます。
複数プロセッサをサポートしているため、PN7220を導入したPOS端末では支払いだけでなく複数の機能を実行できます。以下に、マルチユース機能の例をいくつか紹介します。
- 会員カード:POS端末で会員カードに対応できます。会員カードは顧客のエンゲージメントを強化し、ポジティブなエクスペリエンスを生み出すことで顧客のブランド・ロイヤルティを高める効果があります。
- デジタル領収書:POSシステムから顧客のモバイル機器にデジタル領収書を送信でき、プリンタで紙の領収書を印刷する必要がなくなります。
- チケット販売:小売業者はチケットを実店舗で販売することで、収益を増やすことができます。追加のハードウェアを追加する必要はなく、セキュリティ・リスクも発生しません。
- 無人決済:たとえば駐車場や、自動販売機の一部として、係員がいない場所での支払いをサポートするPOS端末を導入できます。
- ヘルスケア端末:ヘルスケア端末にセキュリティ能力の高いプロセッサを導入し、患者名や生年月日などの個人情報を保護することで、プライバシーに関する法的要件を満たしながら支払いを処理できます。
- EV充電ステーション:決済端末に充電ポイント管理システム (CPMS) との通信機能を持たせることで、セッション料金を計算してから料金を請求できます。
マルチユース・タッチ機能にはいくつかの利点があります。新規開発の場合は、部品や材料のコストを削減できます。小売業者は、複数のデバイスや、さまざまなセンサを備えた端末に依存しなくても、追加的な機能を提供できます。また、顧客が1台のデバイスを使って1回のタッチで支払いを行うと同時に会員ポイントを獲得するなど、顧客エクスペリエンスをスピードアップできる可能性もあります。
EMVCOとNFCのシームレスな切り替え
EMVCo動作とNFC動作をスムーズに切り換えられるようにするために、PN7220には2つの独立したポーリング・ループが搭載され、アプリケーション・プロセッサによって選択できるようになっています。EMVCo用とNFC Forum用の各ポーリング・ループには、最適化されたRFパラメータのセットが含まれています。システムのモードが切り替わる前に、前の通信でやり取りされた既存データがすべて消去され、NCIソフトウェア・スタックがリセットされます。この設計によって、1個のアンテナを使用してEMVCoアプリケーションとNFC Forumアプリケーションをサポートできるため、フットプリントを大幅に縮小できます。
大型の高解像度画面
Androidへの移行に伴い、最新世代のデバイスでは画面の大型化、高解像度化も始まっています。画面の大型化、鮮明化には明らかなメリットがありますが、発生するノイズが増えるため、NFCのようなRFオペレーションにはデメリットとなります。
NFC無線アンテナがディスプレイの背面にある端末では、特にノイズ対策が難しくなります。PN7220コントローラでは、2.0 WのRF出力電力、優れたレシーバ感度に加え、動的電力制御 (DPC)、自動波形制御 (AWC)、自動エラー処理といった多様な機能を搭載しており、金属部品やノイズへの暴露、小型アンテナの使用などの困難な条件下での運用時に明確な優位性をもたらします。このような機能に加え、非接触型EMV L1およびNFC Forum準拠ファームウェアが統合され、さらに認証制度も簡素化されているため、開発者は設計をより早く完成させることができます。
現場での迅速なアップデート
PN7220は、専用外部ピンを使用しないファームウェア・アップデートをサポートしています。ファームウェア・アップデートは、NXPから提供される暗号化された署名済みファームウェアによって行われます。これによりEMVCoを容易にアップデートできるため、進化するEMVCoの機能に合わせて最新の設計を維持できます。
次世代POS端末への移行を推進します。PN7220コントローラの機能と特長については、こちらをご覧ください。
既存設計のアップグレードが容易
PN7220は他のNXP NFCコントローラとの下位互換性があるため、開発チームはNFC対応製品ファミリを短期間で拡張し、EMVCo決済機能を追加できます。PN7220はPN5190と同じNFCフロント・エンドアンテナ接続と電源ピンを使用し、PN7160と同じAndroid 13ミドルウェアを使用しています。
時間を節約する開発ボード
迅速なデザインインのために、NXP PN7220開発ボード (PNEV7220BP1) を、Androidホスト機能を持つNXP i.MX 8M評価キットに接続できます。もう1つのオプションとして、NXP K82プロセッサを搭載し、追加のホストに接続できるPNEV7220BP2ボードを使用する方法があります。どちらのボードのデバッグ・ラインと電源ラインにも銅ダンピング付きの45x45 mmのNFCアンテナが搭載され、一般的なアプリケーション状況をシミュレートできるようになっています。また、どちらのボードもEMVCo 3.1およびNFC Forumの要件に準拠するよう徹底的な検証を受けています。ブロッキング・コンデンサ、DC/DCコイル、EMCフィルタを含むPCBレイアウトは、お客様のアプリケーションのリファレン・スデザインとしてコピーして使用できます。また、NXPの直感的なGUIであるNFC Cockpitもサポートしているため、ソフトウェア・コードを作成しなくてもIC設定を構成、調整できます。
変化の加速
POSシステムはLinuxからAndroidへと移行を始めたばかりですが、小売業者と消費者の両者がそのメリットを享受しています。PN7220はAndroidベースPOS端末への移行を加速し、開発チームが次世代POSシステムを迅速に開発するために役立ちます。