NXPは、20年以上にわたり、汎用MCUに車載用アナログ・ポートフォリオからのアプリケーション固有の機能を組み合わせて、高度に統合された電動モータ制御向けソリューションを開発してきました。この間、8ビットから16ビットへの移行や今日の32ビットMCUアーキテクチャなど、多くの領域における電子制御の進化を見続けてきました。今日では、これらのシステムにおいて安全性とセキュリティがより大きな役割を果たしています。ソリューションを再び進化させる時を迎えています。
ソフトウェア・デファインドの電気自動車へと潮流が向かう中、車載開発者は、ブラシ付きDCモータからブラシレスDCモータ (BLDC) や永久磁石同期モータ (PMSM) へと対応を移行していく必要があります。BLDCおよびPMSMモータは、小型で軽量かつ高トルクで高効率であることで知られており、これらはエネルギー消費の削減と電気自動車 (EV) の航続距離の延長に貢献します。一方で、これらのメリットにはいくつかの課題が伴います。制御が複雑であることが多く、メリットを享受するには最先端のフィールド指向制御 (FOC) アルゴリズムを実装するためのパワフルなMCUが必要です。
NXPは、これらの潮流と課題を考慮して、統合システム・イン・パッケージ (SiP) ・ソリューションのS32M2 ポートフォリオを開発しました。このポートフォリオは、実績のあるS32車載コンピューティング・プラットフォームに基づく包括的な12 Vモータ制御を提供します。S32M2ファミリは、高電圧 (HV) アナログ機能、通信物理層、S32K汎用車載用MCUを統合しており、スペースを最適化するとともに、お客様の部品表 (BoM) コスト(およびその複雑さ)を低減します。S32KのパワフルなArm® Cortex®-M4およびCortex-M7コアは、EVの厳格な車内ノイズ要件に対応するために必須の高度なモータ制御アルゴリズムの実装に必要な演算能力を提供します。
NXPのS32M2統合ソリューションによる高度なBLDCおよびPMSMモータ制御
S32M2モータ制御ソリューションは、最新の12 V車載モータ制御のニーズに包括的な方法で対応し、ソフトウェア・デファインド電気自動車のモータ制御エッジ・ノードのこれからの成長を推進します。
- モータ制御エッジ・ノードの設計がプラットフォーム・ベースで可能になるため、OEMやTier1各社は、複雑さを軽減し、市場投入までの時間を短縮できます
- 自動車メーカーは、エッジ・ノードを使用してデータ・マイニングを実行し、効率を高めるために最適化することが可能です
- S32M2の高性能コアにより、エッジ・ノードに診断ソフトウェアを実装できます。これにより、インバーター・スイッチとモータの健全性を監視できます
- ブラシレス・モータ制御向けの高度な数学的アルゴリズムの実装を簡素化します
- 車室内のノイズを低減し、乗員の快適性を向上させます
モータ制御開発をアップグレードする準備はできましたか?S32M2ポートフォリオの機能をご覧ください。詳細はこちら。
このSiP統合でNXPがもたらすものとは
S32M2デバイスは、1つのパッケージに2つのダイが搭載されています。標準のMCUと、電圧レギュレータ、物理層通信インターフェース(CANまたは LIN)、12 Vモータ制御ゲート・ドライバで構成されるアナログ・フロント・エンドを統合しています。
S32M2の概略ブロック図
S32K1/S32K3 MCUのコアの組込み
- 効率的な数学アルゴリズム演算向けの高性能プロセッシング・コア
- 機能安全:ISO 26262 ASIL B準拠
- 将来性が確保されたセキュリティ機能とスケーラブルなプラットフォーム
- 128 KB~1 MBのフラッシュ・メモリ
アナログと通信物理インターフェースの統合
- 12 V電源を介して供給されるスルーレート制御を備えた6チャネルMOSFETゲート・ドライバ
- S32M2内のすべてのモジュールに供給するカー・バッテリーに直接接続可能な電圧レギュレータ
- LINとCAN FDを含む豊富なペリフェラル・セット
セーフティと信頼性のための設計
- ISO 26262のSEooC(特定条件に依存しない安全要素)コンポーネント開発プロセスと真のASIL Bに準拠
- AEC-Q100グレード0:-40°C~150°Cの周囲温度からグレード2まで対応
- ISO 26262準拠をサポートする機能安全の成果物とイネーブルメント
- EMC/ESDに関して車載および産業向けOEM仕様に適合
ソフトウェアの再利用性
S32M2は、S32車載コンピューティング・プラットフォームのソフトウェア、デモ・コード、開発および検証ツールなどのイネーブルメント・ツールと完全に互換性があります。この互換性とプラットフォーム設計アプローチにより、エッジ・ノード間の移行に加え、S32ベースのゾーンおよび車載コンピューティング・ドメインに移行する際のソフトウェアの再利用性が向上します。S32M2ファミリではOTA (Over-the-Air) アップデートも可能であり、これによりオン・デマンドでエッジ・ノードを更新することもできます。
S32M2のシリコンをモータ制御システム・ソリューションに活用
モータ制御SiPシリコンをシステム・ソリューションとして活用するために、NXPではシリコンとロー・レベル・ドライバだけでなく、ハードウェアとソフトウェアのツーやエコシステムを総体的に提供しています。
S32M2での包括的なモータ制御システム・ソリューション
まとめ
車両のアーキテクチャがソフトウェア定義へと進化するにつれて、より優れた性能とより高いレベルのセーフティやセキュリティが求められており、NXPの電子モータ制御向け統合ソリューションのポートフォリオもS32M2ファミリの導入によって進化しています。それとともに、設計を容易にする包括的な制御システム・ソリューションという特性も強化されています。将来に目を向けると、NXPは、より高いバッテリー電圧や新しい通信バス規格などこれからの要件に向けて進化し続けると同時に、お客様がNXPの統合ソリューションに期待するような実装の容易さを維持していくことでしょう。