NXPは、MCX CシリーズのリリースによりMCXマイクロコントローラのポートフォリオを拡張しました。MCX Cの低コスト設計、エネルギー効率に優れたパフォーマンス、堅牢な機能により、MCXポートフォリオ全体がさらに充実します。
Arm® Cortex®ベースで、優れたコスト効率とエネルギー効率
NXPは、強力なMCUの実績と将来に向けた大胆なビジョンを土台として、MCX Cシリーズを開発しました。コスト効率とエネルギー効率に優れたCortex-M0+ベースのMCUであり、15年の寿命を確保しながら、従来の8ビットおよび16ビット設計をアップグレードするように設計されています。MCX Cシリーズは、エントリレベルのインダストリアル&IoT市場の特定のニーズに対応し、さまざまなアプリケーションへのゲートウェイとして役立ちます。このMCUは、小型・中型家電、ホーム・セキュリティと監視、スマート照明、スマート電源ソケット、DCファンなど、エントリレベルから高度なソリューションに至るまで、包括的なオプションをお客様に提供します。48 MHzの32 ビットArm® Cortex® M0+プロセッサとともに、最大256 KBのフラッシュ、最大32 KBのSRAM、最大16 KBのブートROMを搭載しています。さらに、MCX Cは、フルスピードのUSBおよびSLCDインターフェースに加え、エネルギー効率の高いペリフェラルのための低消費電力モードを備えています。
MCX Cを選ぶ理由
信頼性とコスト効率
今日のMCUソリューションでは、その総所有コストが重要な要素の1つとなっています。オープンソースの開発ツールを備えたコスト効率の高いプラットフォームは、新製品開発者にメリットをもたらします。MCX Cシリーズは、使いやすさに重点を置いたエントリレベルのMCUであり、コスト効率と信頼性に優れています。MCX Cは、さまざまなローエンドのインダストリアル&IoTアプリケーションのニーズを満たすように設計されています。
低消費電力と高速インターフェース
導入環境でエッジ・デバイスが広く使用されるようになり、省電力が不可欠な要件となる一方で、システム全体のパフォーマンスにとっては高速性能が依然として重要です。MCX Cは、低消費電力の省電力型ペリフェラルとともに、USBインターフェースをサポートしています。フルスピードのUSB 2.0は12 Mbit/sで動作します。省電力型ペリフェラルがコアの負荷を軽減して電力を節約し、低消費電力モードではコアがスリープ状態の間もペリフェラルの実行を維持します。セグメントLCDによってヒューマン・マシン・インターフェイス (HMI) をサポートし、コントローラが適切な波形を生成することで、数字、英数字、またはカスタムの多重化されたセグメントLCDパネルを駆動できます。
セキュリティ
MCX Cは、フラッシュ・モジュールから選択されたモードに基づいて外部アクセス・セキュリティを実装します。フラッシュ・モジュールは、MCUにセキュリティ情報を提供し、セキュリティ要求を確認して、フラッシュ・リソースへのアクセスを制限します。
セキュリティで保護されていない場合は、デバッグ・ポートまたはユーザー・コードの実行を通して全フラッシュ・コマンドを使用できます。フラッシュがセキュリティで保護され、デバッグ・ポートからメモリの場所にアクセスできない場合は、一括消去操作のみが許可されます。一括消去を無効にすると、デバッガ経由の一括消去もブロックされます。
MCX Cの応用分野
MCX Cは、小型・中型家電、ホーム・セキュリティと監視、スマート照明、スマート電源ソケット、DCファンなど、さまざまな市場の幅広いアプリケーションに活用できます。
スマート電源ソケット
MCX Cの詳細
MCX Cシリーズは、48 MHzのArm Cortex-M0+を搭載した複数のファミリから構成されています。MCX C04xは、16ピンまたは24ピンQFNパッケージで供給されるエントリレベルのデバイスです。メモリは、32 KBのフラッシュ、2 KBのSRAM、8 KBのブートROMです。動作消費電力は最小で50 μA/MHzです。
MCX C04xのブロック図
MCX C24xは、より多くの機能とリソースを提供します。メモリは、最大64 KBのフラッシュ、最大16 KBのSRAM、16 KBのブートROMです。ブートローダ付きの組込みROMにより、内蔵USB FS 2.0デバイスを使用して柔軟なプログラム・アップグレードが可能です。FlexIOにより、標準およびカスタマイズされたシリアル・ペリフェラル・エミュレーションをサポートできます。消費電力は、超低消費電力動作モードで46 μA/MHz、RAMとRTCを保持するストップ・モードでは1.68 μAまで低減できます。このデバイスは、64ピンLQFPまたは32ピンQFNパッケージで供給されます。
MCX C44xファミリは、最もパフォーマンスの高いファミリです。メモリは、最大256 KBのフラッシュ、最大32 KBのSRAM、16 KBのブートROMです。MCX C24xの機能に加えて、最大24 x 8または28 x 4セグメントのセグメントLCDをサポートします。超低消費電力実行モードで54 uA/MHz、ディープ・スリープ・モード(RAM + RTC保持状態)では1.96 uAまで消費電力を低減できます。32および48ピンQFN、64ピンLQFP、64ピンBGAなど、より多くのパッケージング・オプションがあります。
MCX C14x/24x/44xのブロック図
低消費電力
パワー・マネジメント・コントローラ (PMC) には複数の電源オプションがあり、必要な機能レベルに合わせて消費電力を最適化できます。複数のRUN/WAIT/STOPモードをサポートしています。MCUは50 µA/MHz未満で動作でき、レジスタを保持するディープ・スリープ時にはIdd = 2 µAで動作できます。ディープ・スリープ・モードでは、マイクロコントローラはわずか4 usでウェイクアップできます。
ほとんどのモジュールのクロックは、電力を節約するためにオフにすることができます。PMCには、低電圧状態から保護するための低電圧検出 (LVD) システムがあります。
通信とHMI
MCX Cは、幅広い通信機能とHMIを備えています。USBはフルスピード(12 Mbit/sのUSB 2.0)で動作し、セグメントLCDインターフェースを備えています。FlexIOがカスタマイズ可能なインターフェースを提供し、UART、I2C、SPI、I2S、カメラIF、PWM/波形生成などの幅広いプロトコルをサポートすることができます。
デバイス間通信用にSPIインターフェースとI2Cインターフェースの2つの低消費電力UARTチャネルがあります。多数の汎用入出力 (GPIO) ピンを備えており、LEDまたはパワーMOSFETを直接駆動するために使用できます。セグメントLCDコントローラが適切な波形を生成することで、数字、英数字、またはカスタムの多重化されたセグメントLCDパネルを駆動できます。最大8つのバック・プレーンと最大47のフロント・プレーンにインターフェースできます(8x47または4x51など)。セグメント故障検出もサポートされています。
通信とHMI
高精度アナログ
MCX Cは、最大16チャネルの16ビット逐次比較型高速ADCを搭載し、12/16ビット出力モードをサポートしています(MCX C04xデバイスでは12ビット逐次比較型ADC、最大8チャネル)。12ビットの高速、低消費電力、汎用DACも備えています。DACの出力は外部ピンに配置するか、アナログ・コンパレータ、オペアンプ、ADCへの入力の1つとして設定できます。アナログ・コンパレータ (CMP) モジュールは、2つのアナログ入力電圧を比較するための回路と、1つの信号を出力できる6ビットのDAコンバータ (DAC) を備えています。また、8つのチャネルからアナログ入力信号を選択する回路を備えたアナログMUXも搭載しています。電圧リファレンスは、バッファリングされたリファレンス電圧を外部リファレンスとして提供します。バッファリングされたリファレンスは、内部でADC、DAC、アナログ・コンパレータ用にも使用できます。電圧リファレンス出力は、0.5 mVの分解能で調整でき、専用ピンで出力されます。
パフォーマンスの向上
MCX Cシリーズは、パフォーマンスを向上させるための多くの先進的なコア機能を備えています。
DMAモジュールは、プロセッサの介入を最小限に抑えながら、システム・メモリおよびペリフェラル・デバイス内でデータを非同期的に転送できるため、システム全体のパフォーマンスが向上します。
ビット操作エンジンは、ペリフェラル・アドレス空間に対するアトミックなリード・モディファイ・ライト・メモリ操作をハードウェアでサポートします。この実装は、このクラスの汎用マイクロコントローラに対して、堅牢で効率的なリード・モディファイ・ライト機能を提供します。
対称クロスバー・スイッチの実装により、複数のメイン・デバイスから複数のサブデバイスへの同時アクセスが可能になり、32ビットの転送を1クロックで実行できます。クロスバーは、固定優先順位またはラウンドロビンのサブデバイス・ポート・アービトレーションに設定できます。
クロックとタイミング
MCX Cは、MCUのさまざまなクロック・ソース・オプションに対応しています。48 MHzで動作する高周波内部リファレンス・クロックと、8 MHzまたは2 MHzで動作する低周波内部リファレンス・クロックを備えています。また、外部水晶発振器をクロック・ソースとして用いることもできます。デバイダ/プリスケーラを利用して、1 kHz、32 kHz、4 MHzなど、さまざまな周波数オプションを設定できます。外部水晶発振器は32 kHzまたは3~32 MHzで動作させることができます。
タイマ/PWMモジュールは、入力キャプチャ、出力コンペア、およびPWM信号の生成をサポートする2~8チャネルのタイマを搭載し、電気モーターやパワー・マネジメントのアプリケーションを制御します。カウンタ、コンペア、キャプチャの各レジスタは、低消費電力モードでも保持される非同期クロックによって動作します。
低消費電力タイマは、16ビット分解能の時間カウンタまたはパルス・カウンタとして動作するように構成できます。すべての電源モードで動作し、ほとんどのシステム・リセット・イベント発生時にも継続して動作可能であるため、時刻カウンタとして使用できます。
リアルタイム・クロックは、ロールオーバー保護と32ビット・アラームを備えた32ビットの秒カウンタを提供します。入力クロック・ソースはソフトウェアで選択でき、プログラム可能な16ビット・プリスケーラを備えています。
拡張性の高いパッケージ
MCX Cは、拡張性の高いメモリおよびパッケージ・オプションを備え、コストとパフォーマンスの最適なバランスを実現するように設計されています。この柔軟性により、MCX Cシリーズは高いコスト効率と品質水準を維持しながら、多様なアプリケーション要件を満たすことができます。
MCX Cは、QFN16、QFN24、QFN32、QFN48、BGA64、LQFP64の業界標準パッケージで供給されます。
MCUXpresso開発者エクスペリエンス
MCX Cのアプリケーションは、MCUXpressoスイートのソフトウェアやツールを使用して、迅速かつ効率的に開発できます。NXPでは、開発者がソフトウェアをどのように開発するかに関して選択の自由を提供しています。
MCUXpressoスイートのソフトウェアとツールには、コアとなるソフトウェア開発キット (SDK) に加え、統合開発環境 (IDE) および設定ツールが含まれています。
MCX CのSDKには、低レベルのペリフェラル・ドライバ、設定用ユーティリティ、およびUSBデバイス・スタックなどのミドルウェアが含まれています。
これらのSDKは柔軟性が高く、以下のようなIDEとともに使用できます。
- MCUXpresso for Visual Studio Code (VS Code):迅速で柔軟な開発を実現するVS Code拡張機能
- MCUXpresso IDE:使いやすさを最適化したEclipseベースのカスタムIDE
- IAR Embedded Workbench:安全性が保証され、高度な最適化が可能なC/C++向けコンパイラおよび開発環境
- Arm Keil MDK:広範なミドルウェアを備えた高性能Armコンパイラ
開発ボード
3つのFRDM開発ボードが用意されており、コスト効率に優れた使いやすい開発プラットフォームを提供します。USB-Cコネクタを介してプログラム可能であり、Arduino互換のヘッダーを介してI/Oピンを使用できます。MCX Cペリフェラルへの完全なアクセスのために、追加のピン列が用意されています。デバッガ・ヘッダーでシリアル・インターフェースを使用できます。NXPの拡張ボード・ハブ およびパートナーから拡張アドオン・ボードが提供されており、関連するMCUXpresso SDK対応ドライバやサンプルとともに入手できます。
FRDM-MCXC444開発ボード
FRDM開発ボードには、さまざまなパッケージがあります。
- FRDM-MCXC041:48 MHz Cortex-M0+、32 KBフラッシュ、QFN-24
- FRDM-MCXC242:48 MHz Cortex-M0+、64 KBフラッシュ、QFP-64、フルスピードUSB
- FRDM-MCXC444:48 MHz Cortex-M0+、256 KBフラッシュ、QFP-64、フルスピードUSBおよびセグメントLCD
MCX Cシリーズのメリット
コスト効率に優れた設計を特徴とし、エネルギー効率の高いArm Cortex-M0+プロセッサを搭載したMCX Cシリーズは、低コストで高パフォーマンスを実現します。最大256 KBのフラッシュ・メモリ、32 KBのSRAM、フルスピードUSB、セグメントLCDインターフェースを備えており、エッジ・デバイスに最適です。MCX C シリーズはMCUXpresso開発者エクスペリエンスによって完全にサポートされており、FRDM開発ボードを簡単に利用できるとともに、MCUXpresso for VS Codeなどの一般的なIDEもサポートされます。
データシート、リファレンス・マニュアル、および使用開始に必要なすべてのリソースにアクセスするには、MCX Cシリーズをご覧ください。