インダストリアルIoT (IIoT) は、クラウド上でデータを収集、処理、共有するためのデバイス間通信を基盤としています。今週のWireless Wednesdayブログでは、専用のトライラジオ・ソリューション(Wi-Fi、Bluetooth、802.15.4)が、IIoTで使用される多様なプロトコル間のシームレスな通信にどのように役立つかについて説明します。
産業用インフラストラクチャには、Wi-Fi、Bluetooth、または802.15.4(Thread、ZigBee、Matter)を介して接続される、センサ、エンド・ノード、コントローラ、プロセッサなどのさまざまな相互接続コンポーネントが含まれています。IIoTソリューションでは、これらのデバイス間の相互運用性と、これらのワイヤレス・プロトコル全体にわたる堅牢なパフォーマンスが必要となります。NXPのワイヤレス・コネクティビティ・ソリューションは、Wi-Fi、Bluetooth、802.15.4という3つの主要な無線規格の共存を可能にする幅広いデバイスを提供し、センサとクラウド間のシームレスな通信を実現して、インダストリアルIoTの可能性を最大限に引き出します。
では、IIoT分野のいくつかのユース・ケースと、システムをワイヤレス・コネクティビティでアップグレードする各種ソリューションについて見ていきましょう。
スマート・ファクトリ管理システム
機械やロボットなどの製造装置の安全性、品質、効率を向上させるには、これらの装置を接続してデータを収集、処理、共有しながら、効率の改善について検討する必要があります。インダストリアル制御システムのHMIスクリーンは、工場現場のオペレータと機械との間のユーザー・インターフェースとして機能します。これらのデバイスは、リモート・アクセスおよび主要なメトリクスやデータの共有のために、クラウドに接続される必要があります。
NXPのRW61xソリューションは、Wi-Fi、Bluetooth LE、802.15.4をサポートするトライラジオ機能を備えた専用の260 MHz Arm Cortex-M33を使用して、このような用途に対応します。このシングルチップ・ソリューションは、コスト削減を実現すると同時に、Threadネットワーク上のエンド・ノードとの通信やWi-Fi経由のデータ共有など、マルチプロトコルのユース・ケースを柔軟にサポートします。RW61xは、スタンドアロン・モードで独立したワイヤレスMCUとして動作するか、またはネットワーク・コプロセッサ・モード (NCP) でホスト・プロセッサまたはマイクロコントローラとともに動作できます。
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このブロック図は、HMIスクリーンを備えたインダストリアル制御システム用にスタンドアロン・モードまたはNXPのi.MX RT1060 MCUとともにネットワーク・コプロセッサ・モードで使用されるRW61xを示しています。
より高い処理性能が必要な用途には、ラジオ・コプロセッサ・モード (RCP) を使用して、NXPのi.MX93プロセッサをIW612 Wi-Fi 6トライラジオ、IW610 Wi-Fi 6トライラジオ、またはIW416 Wi-Fi 4 + Bluetoothソリューションと組み合わせることをお勧めします。NXPワイヤレス・コネクティビティをNXPプロセッサと組み合わせると、使いやすく、ソフトウェア互換性も得られますが、このトライラジオ・ワイヤレス・ソリューションは、NXP以外のサードパーティ製プロセッサを使用する既存のアプリケーションにも接続できます。
スマート・エネルギー管理システム
スマート・メーターやソーラー・インバータなど、エネルギー効率の高い機器やシステムの構築に向けた市場の動きに伴い、エネルギー消費量を収集、追跡するための取り組みが増加しています。スマート・メーターは、電力や電圧のデータを収集、監視、処理し、顧客と請求センターに送信することで、傾向の分析やエネルギー消費の最適化を可能にします。ソーラー・インバータは、パネルで生成される直流電力を交流電力に変換し、そのエネルギーをさまざまな負荷へ供給します。
スマート・メーターとソーラー・インバータは、ZigBee、Thread、Bluetoothなどの狭帯域無線を介して通信できます。これらの機器は、ZigBeeまたはThreadを使用して、エネルギー消費量、異常な状態、メンテナンス・サイクルなどの情報を収集できます。Bluetoothテクノロジは、ネットワーク上でのスマート・デバイスの試験運用に使用でき、接続されたデバイスのネットワークを簡単に拡張できるようになります。また、Wi-Fiコネクティビティを利用することで、データをクラウドまたは宅内エネルギー・ディスプレイやホーム・コントロール・パネルに送信して、エネルギー生成、各種システムまたはアプライアンスの使用状況、電力のコスト削減などの情報を表示できます。
NXPは、スマート・エネルギー管理システムのためのソリューションを提供しています。IoT用に最適化されたIW610 Wi-Fi 6トライラジオ・ソリューションを、ラジオ・コプロセッサ (RCP) モードのi.MX 91プロセッサと組み合わせることで、スマート・メーター、ソーラー・インバータ、その他のスマート・エネルギー・アプリケーションでワイヤレス・コネクティビティを実現できます。SDIO、USB、UART、SPIなど多様なホスト・インターフェースをサポートするIW610は、幅広い範囲のNXPプロセッサまたはNXP以外のサードパーティ製プロセッサと組み合わせることができます。さらに、i.MX 91をIW612 Wi-Fi 6トライラジオ・ソリューション(高いワイヤレス性能を必要とするアプリケーションの場合)またはIW416 Wi-Fi 4 + Bluetoothソリューション(必要なワイヤレス性能がそれほど高くない場合)と組み合わせることで、コネクティビティ・ソリューションの拡張が可能になります。必要な処理性能が低いアプリケーション向けには、RW61xをMCUとコネクティビティ用のシングルチップ・ソリューションとして使用できます。
このブロック図は、スマート・メーター・アプリケーションでRW61xを使用し、ソーラー・インバータ・アプリケーションでi.MX 91をIW610と組み合わせて使用する、包括的なコネクティビティを備えたスマート・エネルギー管理システムを示しています。