PCA9527は、HDMIアプリケーション向けのDDC (Display Data Control) クロック、データ、および CEC (Consumer Electronic Control) に対応する3チャネル双方向オープン・ドレイン・バス・バッファです。このデバイスは、2.7 Vから5 Vへの電圧レベル変換を可能にする2つの電源ピンとともに、各DDCクロックおよびデータのポートAに立上がり時間アクセラレータを備え、より長いケーブルの駆動に対応します（バスの立上がり時間に違反せず、高い信頼性で最大18メートルまたは1400 pF）。5 VトレラントのCECチャネルは内部でVCC(B)に接続され、立上がり時間アクセラレータは備えていません。CECチャネルは、割込みまたはリセットとして使用可能です。
レベル変換時にI2Cバス・システムのすべての動作モードと機能を保持するとともに、データ (SDA)、クロック (SCL)、およびCECを双方向にバッファリングしてI2Cバスの拡張を可能にします。PCA9527を使用することで、システム設計者はバスの静電容量を絶縁し、HDMI DDCバージョン1.3の距離要件を満たすことができます。SDAxピンおよびSCLxピンは過電圧への耐性があり、PCA9527の電源がオフのときにはハイインピーダンスとなります。静的レベル・オフセットを持つポートBのドライバ（SDAB、 SCLB、CECB）の動作はPCA9515デバイスのドライバと類似していますが、SDAAおよびSCLAドライバは立上がり時間アクセラレータを内蔵しているため、より多くの電流をシンクし、静的オフセット電圧が不要です。
CECAドライバは、SDAAおよびSCLAと同じ電流および静的オフセット電圧機能を備えていますが、立上がり時間アクセラレータは搭載しておらず、VCC(B)を基準として給電されます。これにより、ポートBのLOWはポートAでほぼ0 VのLOWに変換され、オフセットがゼロとなります。ポートBのI/Oドライバは静的オフセット設計であるため、PCA9507（ポートB）、PCA9510、PCA9511、PCA9512、PCA9513、PCA9514、PCA9515、PCA9516A、PCA9517 （ポートB）、PCA9518Aなど、立上がり時間アクセラレータを備えた他のデバイスには接続できません。ただし、複数のPCA9527のポートAを相互に接続することで、共通バスでポートAを使用したスター型トポグラフィが可能になり、ポートAを静的または動的オフセット電圧を備えた他のバッファに直接接続できます。複数のPCA9527をポートAからポートBに直列に接続でき、この際にオフセット電圧は蓄積しないため、ToF (Time of Flight) 遅延のみを考慮する必要があります。
入力しきい値が0.3 VCC(A)を超えると、SDAAピンとSCLAピンの立上がり時間アクセラレータがオンになります。PCA9527のSDAドライバとSCLドライバは、VCC(A)とVCC(B)が2.7 Vを超えない限り有効になりません。ENピンは、システムの制御下でドライバをオン/オフするためにも使用できます。イネーブル・ピンの状態の変更はバスがアイドル状態のときのみ行うよう注意が必要です。ポートBの内部バッファLOWの出力プルダウンは約0.5 Vに設定されており、内部バッファの入力しきい値はそれよりも約70 mV低く（0.43 Vに）設定されています。ポートBのI/Oが内部でLOWに駆動された場合、このLOWは入力によるLOWとしては認識されません。これにより、ロックアップ状態の発生が防止されます。
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