自律走行(Autonomous Driving:AD)/先進運転者支援システム(Advanced Driver-Assistance System:ADAS)用ドメイン・コントローラの主要な機能の1つとして、認識し、計画する点が挙げられます。認識機能は高い処理性能(TOPS:Tera Operations Per Second)要件に対応し、それに続く経路計画とアクチュエータの駆動は、ASIL Dの安全要件(DMIPS:Dhrystone Milion Instructions Per Second)に対応します。ADASでの演算ではASIL Dに対応できない場合があり、ASIL Dレベルの意思決定をドメイン・コントローラで行うことが必要となります。これは、セーフティ・プロセッサと呼ばれる高性能なASIL D対応プロセッサを使用することで実現します。このプロセッサは、ADASの演算によって行われた意思決定を評価する冗長パスとしての役割を果たします。
ADASテクノロジの進歩に伴い、自動運転の実装レベルが大幅に向上しています。一方で、何らかの不具合によって複雑なADASアプリケーションの障害が引き起こされた場合には、ADASの基本的機能を維持するための機能低下モードをサポートすることが必要となります。このような状況では、セーフティ・プロセッサが不可欠です。セーフティ・プロセッサは、機能安全に対応するパワフルな機能によって障害の検出や対応を行うとともに、機能低下や冗長性に対応するための十分なリソースを有しています。
ADASアプリケーションの重要な機能の1つは、タイム・センシティブなデータや機密データがECU、ドメイン・コントローラ、およびCCU間で転送されることです。これにより、データ・トランザクションのために求められる優れたネットワーク機能がADASドメインのセーフティ・プロセッサに備わります。このプロセッサは、TSN (Time-Sensitive-Networking) など、時間制約のある通信テクノロジによるタイム・センシティブなデータの処理と転送に対応できる必要があります。また、機密データを保護するには、ハードウェア・セキュリティ・エンジンに基づいて迅速化されたセキュリティ・サービスが必要となります。
NXPのS32Gは、以下により、ADASのセーフティ・コプロセッサに関する上記すべての要件を満たします。
- 機能安全対応のパワフルな機能によりASIL Dアプリケーションをサポート
- ADASの機能低下モードをサポート
- 各種ADASレベルの要件をサポート
- TSNのサポートを備えたCANおよびイーサネットのネットワーク・アクセラレーションを提供
- HSE(ハードウェア・セキュリティ・エンジン)によりADASのセンシティブ・データを保護
- SOA アプリケーションに対応する高次のOSをサポート